はじめに 〜個人用の見守り介護カメラで、離れて暮らす親をそっと見守る安心を〜

「おかあさん、体調を崩していないかな…」
「足腰が弱ってきたおとうさん、一人で留守番してもらってるけど大丈夫かな…」
日々の仕事や家事の合間に、ふと親のことが頭をよぎる——
こんな不安を抱えながら暮らしている方も多いのではないでしょうか。
わが家では、要介護状態で転倒しやすい父のために、見守りカメラを設置しています。
導入のきっかけは、わたしが仕事で数日家を空けたときに起きた出来事でした。
高熱を出した父が転倒。
父は自力で起き上がれず、体格の大きな父を小柄な母は助け起こせない。
2人きりでどうすることもできず、丸2日間、固い床の上で過ごしていたそうです。
帰宅したわたしが目にしたのは、
意識が朦朧として話すこともままならない父と、困り果てて憔悴しきった母の姿。

「こうなる前に、見守りカメラを設置しておけばよかった……」
そのときの後悔は、今でも忘れられません。
(ちなみにそのときは、すぐに119番通報。近くの総合病院に運ばれた父は横紋筋融解症と診断され、即入院となりました)
この経験を経て、父の退院後、わが家はすぐに見守りカメラを導入。
今では、外出先からスマホで家の様子を確認できるようになり、離れていても両親の無事を見守ることができるようになりました。
この記事では、「介護用見守りカメラ」について解説します。
介護の現場で15年相談員兼ケアマネジャーとして勤めた私がおすすめする見守りカメラも紹介しますね。
この記事を読み終えたあと、
「これならうちでも使えそう」
「高齢の親への不安が、少し解消できそう」
「これからは、安心して外出することができそう」
あなたに、そう感じていただけたら嬉しいです。
介護用見守りカメラとは?

介護用見守りカメラとは、自宅のなかのご家族の様子を、離れた場所から見守ることができるカメラです。
スマホやパソコンを使ってリアルタイムで様子を確認できるので、高齢の親と離れて過ごす時間に感じる
「家の中で転んでいないかな」
「具合が悪そうじゃないかな」
といった不安をやわらげてくれます。
「カメラの設置って大がかりな工事が必要では?」と思われるかもしれませんが、今はアプリで簡単に設定できる機種が販売されています。
Wi-Fi環境があれば手軽に導入でき、価格も手頃なものが多いですよ。
見守りカメラがもたらす安心とメリット

見守る側のストレスを軽くする
「離れて過ごす高齢の親に、何か起きていないか」と常に不安を抱えているのは、大きなストレスになりますよね。
カメラがあれば、スマホからすぐに様子を確認できるので、そんなストレスを解消できます。
見られる側の不安をやわらげる
「自宅にひとりでいて、倒れて誰にも気づいてもらえなかったら……」という高齢者の不安を、カメラの存在がやわらげてくれます。
家族に見守られているという安心感が、孤独感の軽減にもつながります。
気軽に安否確認ができる
忙しくて頻繁に顔を出せない日でも、高齢の親の様子をスマホで手軽に確認できるのは心強いもの。
「今日は電話をかける時間はないけど、元気にしているかな?」と思ったときも、アプリを開くだけで、離れて暮らす親の安否を手軽に確認できます。
プライバシーと安全性への配慮も忘れずに

見られる側の気持ちを尊重する
いくら安心のためとはいえ、見守りカメラの設置で見られる側が不快感を感じてしまうのであれば本末転倒。
設置前には必ず、本人に説明し納得してもらうことが大切です。
わが家の場合、自宅に見守りカメラを導入するときは、父にこう伝えました。

わたしの外出中にお父さんのことが心配になったときに、少しだけ様子を確認したいから部屋にカメラを置いていい?
前にわたしが家をあけていて、何時間もお父さんが倒れたままだったでしょう?同じことを繰り返したくないの
この説明で、父は「そうか、ありがとうな。頼むわ」とすんなり納得してくれました。
見守りカメラで事故を防止することはできる?

見守りカメラだけで事故は防げない
見守りカメラを導入する方の多くは「事故を防ぎたい」と思っていると思います。
しかし、残念ながらカメラを設置するだけでは、事故を防ぐことはできません。
以前わたしが働いていた特別養護老人ホームでは、見守りカメラに加え、血圧や呼吸数の異常を検知するバイタルセンサーも導入されていました。
それでも、それらの高額な機器を使用しても、機械の力だけで事故を防ぐことは不可能でした。
事故を防ぐには、
- カメラやセンサーの異常に気づいた人がすぐ対応する
- 適切な対処をとる
この「人の対応」があってこそ、事故が防げるからです。
それでも見守りカメラには意味がある
とはいえ、見守りカメラはまったく無意味というわけではなく、以下のようなメリットがあります。
- 転倒や異変にいち早く気づける
- 迅速に行動するための、判断材料になる
見守りカメラは、事故を防ぐ「魔法の道具」ではありませんが、事故の「早期発見」と「対応の速さ」をサポートする、心強いツールになってくれます。
見守りカメラで事故を見つけたらどうすればいい?
カメラ越しに事故や異変を発見したときは、落ち着いて以下のステップを確認しましょう。
ステップ1▶ 状況を確認する
通話機能がある場合は、やさしく声をかけて状況を聞きましょう。
ステップ2▶ 行動の優先順位を判断する
次に、このあと自分が取るべき行動を、落ち着いて判断します。
- 自分が駆けつけられるか?
- 到着までにどれくらい時間がかかるか?
- 自分で行けない場合、他に頼れる人はいるか?
ステップ3▶ すぐに対応が必要な場合
自分が駆けつけていては間に合わない状況の時は、次のように行動しましょう。
- 119番通報をして救急車を要請する
- 近隣の親戚やご近所に連絡する
「親の異常に気づいたら、わが家ではどのように対応すればいいのか」を、事前にシミュレーションしておくと、いざという時も慌てずに済みます。
自分たちでは良い案が浮かばないときは、担当のケアマネジャーに相談すると対応を検討してくれますよ。
ちなみに、わが家の場合は父の担当ケアマネジャーの提案で、万が一のときに駆けつけてくれる訪問看護事業所と契約しました。
鍵の保管場所も共有しているため、わたしが自宅から離れているときも、代理で訪問看護師さんに確認してもらえる体制を整えています。
離れた場所から119番する場合の伝え方
あなたが遠方にいて、カメラ越しに親が倒れているのを見て119番通報するときは、こんなふうに伝えるとスムーズです。
「わたしは、今〇〇県にいます。見守りカメラで▲▲県△△市に住む親が倒れているのを確認しました。」
このように伝えれば、対応する消防署にすぐ取り次いでもらえますよ。
設置も操作もカンタン!おすすめ介護に使える見守りカメラ【Wi-Fi不要な機種も紹介】

TP-Link ネットワークWi-Fiカメラ Tapo C200
わたしが自宅用に選んだのは、TP-LinkのTapo C200というカメラです。
https://amzn.to/42hqi6G
工事不要・スマホで簡単セットアップ
このカメラは、配線工事が不要。
コンセントに繋ぎ、アプリに沿って操作するだけで簡単に設定が完了します。
機械に弱い私でも、開封から15分ほどでセットアップが完了し、迷うことなく使えるようになりました。
スマホひとつでいつでも確認
外出先からでも、スマホで自宅の様子をリアルタイムで確認できます。
見守りたい親の自宅にWi-Fi環境さえあれば、月額料金も不要です。
親の家にWi-Fi環境がないという方には、月額料金を支払えばWi-Fi無しでも利用できるカメラもありますよ。
見守りカメラ【みまもりCUBE】見守りカメラ「みまもりCUBE」の公式サイト。設置場所にWi-Fi不要で簡易的な会話ができる高齢者のために開発された見守りramrock-eyes.jp
暗い部屋でも安心のナイトビジョン&広範囲表示
夜間、部屋を真っ暗にしていても「ナイトビジョン」機能付きで、夜間の様子もしっかりと確認できます。
こちらは、父の部屋に置いてある「TP-LinkのTapo C200」の画像を、明るい時間帯に自分のスマートフォンで見た画面です。(※部屋が散らかっていてすみません……)
【 明るい時間帯の見え方 】

次の画像は、夜真っ暗な部屋を同じアングルで確認したものです。
真っ暗な部屋でも、中の様子はしっかり見えていますよね。
【 暗い時間帯の見え方 】

これは、カメラ周辺に設置された赤外線LEDを点灯させることで可能になっているとのこと。
赤外線は人の目には見えないので、カメラが光って安眠を妨げるといったこともありません。
TP-Link ネットワークWi-Fiカメラ Tapo C200 を使ってみてイマイチだったところ
手軽に導入できて価格もお手頃な「TP-Link ネットワークWi-Fiカメラ Tapo C200」ですが、使っていて「ここはイマイチだな」と思った点は、常に小さな明かりが点灯しているところ。

ちいさな明かりが常時点灯
カメラ本体は小さく、見た目もシンプルで良いのですが、この明かりが「気になる人は気になる」とおもいます。
特別養護老人ホームで働いていたとき「エアコンの作動ランプが気になる」という方が何名かいらっしゃったので、「夜はとにかく真っ暗じゃないと眠れない」というタイプの方にはおすすめできません。
ちなみに、うちの父はまったく気にならないとのこと。(良かった……!)
「TP-Link ネットワークWi-Fiカメラ Tapo C200」は、こんな方におすすめ
- コスパ重視で見守りできるカメラを探している方
- 工事なしで簡単に設置したい方
- 見守りしたい場所にWi-Fiがある方
まとめ 〜離れていても、つながっていられる安心を〜

見守りカメラは、離れて暮らす家族の毎日をやさしく見守ってくれる、頼もしい存在です。
「そばにいられない時間も、見守っている」
そんな安心感を持てることは、介護をする人にも、される人にも大きな支えになります。
見守りカメラは、手軽に導入でき、プライバシーやセキュリティにも配慮すれば、みる側・みられる側、双方が安心して生活することができます。
離れて過ごす家族の様子が気になる方は、まずはご家族と話し合いながら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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